守備時と攻撃時のフォーメーション
ミラン守備時① 4 – 1 – 3 – 2
チャルハノールがポジションを上げ2トップを形成し、両センターバックの正面に入る。べナセルが中央のスペースを埋める事でサイドにボールを誘導し、サイドハーフかサイドバックの位置でのボール奪取を狙う。奪ってからは、トップの位置から降りてくるイブラヒモビッチをポストにしたショートカウンター。6分にはエルナンデスが、11分にはカラブリアがボールを奪取。両サイドからショートカウンターでシュートまで持ち込んでいる。
ミラン守備時② 4 – 4 – 1 – 1
押し込まれてからはイブラヒモビッチとチャルハノールを前に残した8枚ブロックを形成。ボール奪取後は残っている前線に縦パスを狙う。試合開始直後はボローニャのハイプレスにボールを繋げず、セーフティに。
ミラン攻撃時① 2 – 2 – 2 – 3 – 1
ドンナルンマまでボールを下げる事で相手オフェンス陣を釣り出し中盤のスペースを広げ、サイドでの3対3で相手ディフェンスを崩す。ディフェンスラインから一発でサイドバックにボールが出せない場合は、前半はケシエが左サイドバックの位置に、後半はべナセルが右サイドバックの位置に下がり、ボールを中継している。
ミラン攻撃時② 2 – 3 – 4 – 1
ドンナルンマが最終ライン中央でボールを受けるので、相手2トップに対し数的優位にあり、パスコースが確保出来る。ミランの3列目の3枚をボローニャの中盤の4枚で見る事になり、ミランの2列目にフリーが出来る。カラブリアとケシエがタッチライン際まで開き、ピッチを広く使っている。
ボローニャ守備時① 4 – 4 – 2
4-4-2の配置でスペースを埋め、中盤にボールが出たところからマンマーク。最終ラインはマークを受け渡しながらラインを維持。ボールの出所を抑えきれず、ピッチを広く使うミランに翻弄された。
ボローニャ守備時② 5 – 4 – 1
セントラルハーフの1枚が最終ラインに入り、空いたセントラルハーフのスペースをソリアーノが埋める。ミランの大きい展開に中盤は後手を踏み、ディフェンスラインに入ったセントラルハーフがイブラヒモビッチと競るミスマッチが生じた。
ボローニャ攻撃時① 2 – 4 – 4
縦に早くボールを動かすサイドアタックで相手サイドバックを守備陣地に押し込む。前半開始直後はこの形からボールロスト後の即時奪回によりセントラルハーフがシュートに持ち込んだ。
ボローニャ攻撃時② 2 – 1 – 3 – 4
セントラルハーフの1枚が下がり、ビルドアップの起点になる。ミランの2トップがセンターバックに、ボランチが下がったセンターハーフにつく事で、ボローニャはキーパーがキックで展開する事に。
2-3-4-1 vs 4-4-2
ボローニャの守備は4-4-2。ボールが中盤に出てからディフェンスが始まるので、ボールへのプレッシャーが間に合わない。12分、ミランは1トップの位置から降りてきたイブラヒモビッチを絡めた連続したダイレクトパスで左サイドを突破。イブラヒモビッチの開けたスペースにボローニャのディフェンスが残っている形になり、1列下がっているチャルハノールがフリーでシュート。シュートは枠から外れたが、ポジションのミスマッチをついたこの一連のプレイでミランが試合の流れを引き寄せた。
ガッビアからケシエ、ケシエからベナセルへのダイレクトパス。①で2トップの門を通し、②でトップと中盤の門を通す、理想的なトライアングル。ボローニャのドミンゲスが釣り出されている。
ベナセルからエルナンデス、エルナンデスからイブラヒモビッチ、イブラヒモビッチからレビッチへ。ここまでの5本のパスが全てダイレクト。ボローニャはボールへのアプローチが間に合わないのでエルナンデスに寄せきれず、降りてきたイブラヒモビッチを捕まえられない。エルナンデスはイブラヒモビッチに叩いてパス&ゴー。ボローニャのセントラルハーフが2枚とも釣り出され、チャルハノールがフリーになっている。
レビッチが球際で粘って中へドリブル。エルナンデスが裏を抜ける。この時点で4対3。ボローニャの冨安とダイクスはラインを維持しながらリトリート。
中に入ってきたエルナンデスにレビッチからのパスが通る。冨安とダイクスはラインを維持。3対3だがチャルハノールはフリー。
エルナンデスからフリーのチャルハノールへパス。シュートコースも空いている。
ボローニャは冨安がチャルハノールのシュートコースを切りに行くが間に合わない。シュートは枠の左に大きく外れた。
イブラヒモビッチの先制弾
ピッチを広く使うミランに対応が遅れるボローニャ。べナセルのサイドチェンジ、ペナルティエリアに侵入するケシエ、降りてくるイブラヒモビッチ。ボローニャのディフェンスを振り回しながら迎えた34分、エルナンデスからのピンポイントのクロスをイブラヒモビッチがヘッドで叩き込む。
ソリアーノがエルナンデスに寄せているように見えるが、プレッシャーはかかっていない。エルナンデスはディフェンスとディフェンスの間にポジションを取るイブラヒモビッチの位置を確認してから余裕を持ってクロスを上げる。この位置でボールにプレッシャーがかからないと精度の高いピンポイントのボールが飛んでくる。
キックの直前、センターバックがクロスに備えて若干の深さを取る。ボールにプレッシャーがかかっていないのでキッカーのタイミングでクロスを上げる事ができる。
「センタリングはバックの頭の上」の基本に忠実なクロスが入る。巻いているのでダニーロは下がりながら、イブラヒモビッチはボールに向かって行くプレー。スタンディングのダニーロに対し、広いストライドで助走するイブラヒモビッチ。ミスマッチのドミンゲスもイブラヒモビッチの前に出れない。
一番身長の高いイブラヒモビッチが一番先に飛んでいる。この後、ヘッドで叩きつけたボールは横に飛ぶキーパーの手前でワンバウンドしてゴールへ吸い込まれた。
右サイドの3対3
前半はエルナンデスを軸に左サイドでチャンスを量産したミランだが、後半はカラブリア。積極的に高い位置を取り、攻撃の起点になる。
べナセルがディフェンスとディフェンスの間を抜けてコーナー方向へ流れる。
コーナー付近でボールを受けるべナセル。マーカーを引きつける事でディフェンスラインを下げ、赤丸のスペースを作る。
べナセルからサレーマーカースを経由してカラブリアへ。
サレーマーカースはカラブリアに叩いてパス&ゴー。ボールに釣られたサンソーネと位置を入れ替える。
右サイドを突破。
開幕戦を終えて
4バックとワントップのミスマッチを守備では2トップにシステムを変化させる事で対応し、ストロングポイントのサイドでの勝負に持ち込んだ。ビルドアップの起点になるセンターバックとボランチに高い位置からプレスが入った場合の対応が課題に残るが、ペースを握っている前半に流れの中からエースが先制点を決め、追加点を加えて無失点でおさえるという理想的な開幕戦だった。
冨安に高評価
冨安がセンターバックにコンバートされフル出場。イブラヒモビッチとのマッチアップも冷静に対応。へディングの強さとインターセプトからのオーバーラップに潜在能力の高さを見せた。
主要リーグ注目チームの19-20シーズン
守備時・攻撃時フォーメーション掲載footballista 2020年9月号
選手配置 : footballtactics.net
画像引用 : DAZN