[ チャンピオンズリーグ 21/22 ]
守備時と攻撃時の可変システム
リヴァプール守備時① 4 – 3 – 3
ミランのビルドアップに対し、オリギ(27)の中のコースを切るチェイシングからディフェンスがスタート。ジョタ(20)・ケイタ(8)・ヘンダーソン(14)は後ろからマークをみるマンツーマンでパスコースを限定し、サラー(11)のカバーシャドーで間合いを詰める。
リヴァプール守備時② 4 – 5 – 1
プレスを突破されるとオリギ(27)を残してウイングが下がる。ファビーニョ(3)が深さを取りながら、ラインの間をケアする。
リヴァプール攻撃時① 2 – 3 – 2 – 3
ビルドアップはサイドバックを上げた2-3-2-3のWW型。5レーンに並ぶ。
リヴァプール攻撃時② 2 – 3 – 5
押し込んでからは3トップが中に入って5トップの形を作る。
ミラン守備時① 4 – 2 – 3 – 1
ディアス(白10)がファビーニョ(赤3)、ベナセル(白4)がケイタ(赤8)、ケシエ(赤79)がヘンダーソン(赤14)をマークする4-2-3-1。中に絞り、ボールをサイドに誘導する。
ミラン守備時② 4 – 4 – 2
リヴァプールのビルドアップには4-4-2で対応。15分過ぎからはファビーニョ(赤3)にケシエ(白79)が張り付く。
ミラン攻撃時① 2 – 4 – 1 – 3
4-2-3-1からサイドバックを1列上げた2-4-1-3でビルドアップ。センターバックの間をオリギ(リヴァプール27)に切られ、Wボランチがマンツーマンに捕まってしまった。
ミラン攻撃時② 2 – 3 – 1 – 4
エルナンデス(19)が高いポジションを取る2-3-1-4。
システムのマッチアップ
2 – 4 – 1 – 3 対 4 – 3 – 3
2-4-1-3でビルドアップするミランに対し、リヴァプールはファビーニョ(赤3)が深さを取る4-3-3。ケイタ(赤8)がベナセル(白4)を、ヘンダーソン(赤14)がケシエ(白79)をマンツーマンで掴む。サラー(赤11)とヘンダーソン(赤14)・ジョタ(赤20)とケイタ(赤8)の後ろに大きくスペースが空いている。
リヴァプールのディフェンスはオリギ(赤27)のチェイシングからスタート。オリギ(赤27)はケア(白24)へのパスコースを切りながらトモリ(白23)に寄せる。エルナンデス(白19)は空いているが、リヴァプールの誘導なのは明白で出しにくい。トモリ(白23)はプレスのかかりが緩いベナセル(白4)へのパスを選択。
戻りながらボールを収めるベナセル(白4)に合わせ、エルナンデス(白19)が前に出る。サラー(赤11)はエルナンデス(白19)の動き出しを首を振って確認している。
ケシエ(白79)を追い越し、勢いそのままにベナセル(白4)に当たるヘンダーソン(赤14)。エルナンデス(白19)の動き出しを察知したサラー(赤11)は前に出てパスコースを狭める。
ベナセル(白4)のパスをサラー(赤11)がカット。敵陣30m付近でボール奪取に成功する。
“門を通すパス”と“外を回るパス”
ディフェンスの門
ディフェンダーが2枚並んだ状態を指す「ディフェンスの門(もん)」。ディフェンスの門を通す為に、オフェンスのボールの出し手と受け手がタイミングを合わせる必要がある。
黄色矢印が門を通すパス。ボールの受け手はディフェンスのトライアングル、あるいはボックスに入る為、囲まれる前にボールを収めて捌く、高い技術と判断の速さが要求される。また、ボールを捌くタイミングで、次のトライアングル、あるいはボックス内にボールの受け手が入らなければボールが繋がらない。チーム戦術の共有意識に基づく第三の動きが求められる。
緑矢印がブロックの外を回るパス。サイドにボールを運ぶ事で、ファーサイドのディフェンスはボールとマークを同一視野に入れる事が困難になり、オフェンスはマークを外しやすくなる。
リヴァプールの先制点
8分、リヴァプールの攻撃。ヘンダーソン(赤14)・サラー(赤11)・アレクサンダー=アーノルド(赤66)の連携でミランの左サイドを突破する。
リヴァプールは2-3-2-3からケイタ(赤8)が1列下がっている。対するミランは4-4-2からベナセル(白4)が深さを取ってヘンダーソン(赤14)を見る。ボールはマティップ(赤32)からアレクサンダー=アーノルド(赤66)へ。
アレクサンダー=アーノルド(赤66)からサラー(赤11)へ。エルナンデス(白19)の裏に抜けるヘンダーソン(赤14)をベナセル(白4)が追う。
ヘンダーソン(赤14)がベナセル(白4)をつり出し、ミランの最終ラインと2列目の間に大きなスペース(黄○)ができる。アレクサンダー=アーノルド(赤66)がスペースにボールを要求しながらレオン(白17)の背後を抜ける。
サラー(赤11)はレオン(白17)とエルナンデス(白19)の門を通し、スペースにパス。レオン(白17)より動き出しの早いアレクサンダー=アーノルド(赤66)のスピードが速い。
アレクサンダー=アーノルド(赤66)がレオン(白17)の前に出る。アレクサンダー=アーノルド(赤66)はそのままドリブルでペナルティーエリア内に侵入。トモリ(白23)がカバーに行く。
アレクサンダー=アーノルド(赤66)が中に入れる。
ボールがトモリ(白23)の右足を抜ける。
ボールがトモリ(白23)の左足に当たり、コースが変わる。
メニャン(GK)の反応が間に合わない。
リヴァプールが先制する。
ミランの同点弾
41分、ミランの攻撃。オリギ(赤27)がサイドに流れ、サラー(赤11)が上がった状況。リヴァプールの右サイドに大きなスペースが空く。
ボールが最後尾中央のケア(白24)に下がると、ベナセル(白4)とディアス(白10)がボールを要求。
ケア(白24)はリヴァプールの最終ラインと2列目の間に浮き球のパスを入れる。このパスをディアス(白10)が下がりながら収める。
リヴァプールは一斉にリトリート。リヴァプールのリトリートに合わせ、ディアス(白10)とサレマーカーズ(白56)が抜群のポジショニングを見せる。
ディアス(白10)がファビーニョ(赤3)とケイタ(赤8)の門を通し、ボールはサレマーカーズ(白56)へ。レビッチ(白12)が縦に抜ける。
リヴァプールのラインが崩れる中、サレマーカーズ(白56)がドリブルで持ち込む。レオン(白17)が前を横切り、レビッチ(白12)が開く。
ケイタ(赤8)がサレマーカーズ(白56)の右サイドを切り、マティップ(赤32)がボールに当たる。サレマーカーズ(白56)はアウトサイドでボールにタッチ。
ケイタ(赤8)の股を抜く。
ボールを受けたレオン(白17)は、ゴメス(赤12)とマティップ(赤32)の門を通し、レビッチ(白12)へスルーパス。
レビッチ(白12)がフリーでシュート。低く抑えられたボールがアリソン(GK)の脇を抜ける。
ミランが同点に追いつく。
リヴァプールの中央突破
50分、リヴァプールのビルドアップ。3-2-3-2のリヴァプールに対し、ミランは4-4-2。ミランの2トップの間にファビーニョ(赤3)が入っている。
ミランの2トップの間に入っていたファビーニョ(赤3)が、ミランの2トップとWボランチの間のスペース(黄○)に出る。
マティップ(赤32)はディアス(白10)とレビッチ(白12)の門を通し、ファビーニョ(赤3)にパス。
ファビーニョ(赤3)がドリブルで持ち込む。ミランのリトリートの間にヘンダーソン(赤14)がミランのWボランチと最終ラインの間のスペースに入る。ファビーニョ(赤3)はベナセル(白4)とケシエ(白79)の門を通してヘンダーソン(赤14)へパス。
ヘンダーソン(赤14)がフリーでターン。
ヘンダーソン(赤14)が左にサイドチェンジ。
オーバーラップして来たアンダーソン(赤26)に通る。
アンダーソン(赤26)が中に入れる。オリギ(赤27)のトラップが乱れ、得点には至らなかったが、コーナーキックを得る事に成功する。
グループB 第1試合を終えて
リヴァプールのプレスの前にボールを繋げず、ボール保持率では圧倒的に劣勢だったが、前半終了間際のカウンター2発で逆転するしたたかさを見せた。リヴァプールのプレスに対し、前半終盤に見せた、ボランチの1枚が下がった3バックのビルドアップがプレス回避に期待感を持たせた。